南米パラグアイ、移住者の雑記

南米のパラグアイに移住した日本人の、日々の記録です。

親切と盗難

筆者は今、南米のパラグアイという国に住んでいます。

 

ブラジルとアルゼンチンとボリビアに囲まれた内陸国で、
日本から見ると地球の反対側。

 

多くの人にとっては、
普段から意識することのない国だと思いますし、
「どこ、それ?」
という人も多いでしょう。

 

しかし、実際に訪れてみると、意外なほどに日本人はいるし、
こちらの人々に日本を知られてもいます。

 

60年以上前ですが、日本とパラグアイには移住協定が結ばれ、
パラグアイは日本からの移民を受け入れているからです。

 

子供の頃に両親に連れられて移住してきた方など、
もう50年・60年パラグアイに住んでいらっしゃいます。

 

さて、そのパラグアイに来てみて、日本と違う点の一つに
「個人宅のセキュリティがやたら高い」
ことが挙げられます。(筆者の主観)

 

別に、一般家庭がガードマンを雇っているとかではないですが。

 

物理的に高い壁で囲んであったり、鉄柵で囲んであったり、
有刺鉄線や電気柵を張り巡らせてあったり、
体感で9割以上の家が番犬を飼っていたり・・・。

 

そういう状況です。

 

「あぁ、日本と違って治安が悪いんだね」
と思われるかもしれません。

 

しかし、住宅事情がこういう様相になったのは、
実は意外と最近だそうなんです。

 

パラグアイでは1989年に、独裁政権に対するクーデターが起こり、
民主化への道を進み始めました。

30年ちょっと前です。

 

冒頭でお話ししたような、
50年・60年前から住んでいる方にお話を聞いたところ、

独裁政権の頃は泥棒も少なくて、壁も柵もいらなかった」

と仰っていました。

 

私たちは、「独裁」と聞いた瞬間にネガティブなイメージ、
悪いものだという印象をもってしまいますが、
そうでない一面もあるのだという実例だと思いました。

 

民主化」「自由化」の進んだパラグアイでは、
「自由 = 好き勝手してよい」
という勘違いが正されずに広まってしまったようです。

 

他人の物を平気で持っていく人が、一定数います。
(どこの国でもいるとは思いますが、割と多めに)

 

一つ二つ、こっそり盗むというのではなく、
軽トラで畑の作物ごっそり持っていかれた!
なんて話も聞きます。

 

筆者はパラグアイが好きですし、
パラグアイの人々も好きです。

 

ただ、一部こういう側面もある・こういう人もいる、
ということはお伝えしておこうと思いました。

 

海外へ行かれる際は、警戒しつつ、でも恐れ過ぎず、
適度に注意しながら楽しんでいただければと思います。

 

 

 

≪おまけ≫


「一部」とか「側面」とか言ってるけど、結局盗むんでしょ?
悪い人じゃん!と思われるでしょうか?

 

筆者はパラグアイに来て5年、怖い目に遭ったこともなければ、
何かを盗まれたこともありません。

 

逆に、助けてもらったこと、親切にしてもらったことは
数えきれないほどあります。

 

なので、盗難に遭った方のお話を聞くと、むしろ毎回驚きます。

 

親切な人ばかりに見える。
しかし、実際に盗難の被害は出ている。

 

ここから個人的な憶測ですが、
「持ってる人からは盗ってやれ、困ってる人には与えてやれ」
という感覚の人が多いのかもしれません。

 

つまり、

 

広大な牧場をお持ちの方は牛を盗まれ、

何百ヘクタールの農場をお持ちの方は作物を盗まれ、

 

その一方、

 

何も持たず、見るからに貧乏で困ってそうな筆者は、
「盗ってやろう」より「助けてやろう」の対象になるのではないか、
そういうことかもしれません。

 

これは割とマジで思ってます。